内容説明
第1章 貨幣論
はじめに/ 金融とは何か
「派生物=貨幣」に支えられる「実体=経済」/『ファウスト』も労働価値観だった
錬金術こそ貨幣の謎を模倣した/労働価値説という虚構がなぜ生まれたか
都市と農村の二重構造が国民国家をつくった/資本主義が高度情報化もグローバル化も作り出した
賭け――差異性をめぐるもっとも退廃した形態/貨幣――いますぐ使わなくてもよいという自由
貨幣は投機の別名、資本主義の本質、すなわち自由/通貨危機の背後にあるもの
基軸通貨ドルも自己循環論法で成立している/王権利得(シニョレッジ)を持った国、アメリカ
世界中央銀行は可能か/基軸通貨の安定は労働者を移動させる
「言語・法・貨幣」が人間をつくった/資本主義と無限の観念
第2章 資本主義論
貨幣論から法人論へ/会社はモノであって同時にヒトである
モノでありヒトであることの謎/法人名目説と法人実在説の戦い
組織特殊的な人的資産――日本の伝統/デ・ファクト・スタンダード(事実上の標準)
『会社の二つの身体』/産業資本主義の時代
ポスト産業資本主義の時代/産業資本主義のイデオロギーとしての社会主義
マルクスをマルクスによって批判する/「近代世界システム論」批判
ドル中心主義とアメリカ中心主義は違う/労働価値説によって支配された二百年
第3章 法人論
始原としてのポストモダン/ケインズの美人投票論
デ・ファクト・スタンダードとしての美/奴隷になってはじめて主体になる
国家もまたヒトであると同時にモノである/国家的会社から会社的国家へ
社会的実在としての言語・法・貨幣/貨幣商品説と貨幣法制説の対立は諸学を貫く
言語・法・貨幣と宗教/法人は社会的承認を必要とする
資本主義社会は倫理性を絶対に必要とする/契約関係は信任関係から派生したと考える
ポストモダンに倫理は可能か/言語という外部
倫理の基軸としてのカントの定言命法/文学という最後の鍵
第4章 信任論
現実が理論を模倣する/会社という法人は二階建てになっている
会社の社会的責任とはどういうものか/貨幣論においても法人論においても私有財産制は大前提である
私有財産制とは何か/自己利益追求で成立しているシステムは必然的に倫理性を必要とする
信任関係の起源/信託関係では所有権が二重になる
財産をもってはいけない人に財産を寄進するにはどうするか/ヒトとモノ、否定と抑圧
自己循環論法――実体のないものが力をもつということ/フロイト、ラカン、ケインズ
モノへの欲望の否定としての貨幣が、欲望の対象になる/社会があるから人間があり、人間があるから社会があるという循環論
法人は社会的承認を必要とすることの意味/近代は、ヒトがモノでもあることを抑圧したことによって成立した
言語・法・貨幣は遺伝子ではない/自己循環という起源
第5章 市民社会論
貨幣論、法人論から、市民社会論へ/仮言命題は社会主義的で、定言命題は反社会主義的である
人間社会には、物理的な実体とは違う社会的な実体がある/存在の忘却と貨幣の忘却――ハイデガーとケインズ
形式的な論理(資本主義)に対する形式的な倫理(カント)/不完全性定理は真理の新たなあり方を示す
社会的な実体としての言語・法・貨幣は、進化する/カントの倫理がたんなる思想ではなく真理となった社会が市民社会である
「国家および資本主義を超える何か」としての市民社会/建設的な虚構が要請されつづける市民社会
第6章 人間論
社会的実体というものが存在する/規範意識は遺伝するが、私有財産制はじつは遺伝に反する
遺伝決定論優勢は動かない、しかし社会的実体は遺伝しない/言語・法・貨幣は、共同幻想ではなく社会的実体と見なしたほうがいい
死ぬことによって「法」と化したロミオとジュリエット/言語・法・貨幣を成立させるものとしての「書き言葉」
命名されたときに人はすでに法人になっている/最終的には、数学も文学に含まれ、経済学も文学に含まれる
欲望の他者性は、他者の欲望と決定的に違う/自己循環論法によって成立するものはつねにパニックの危機を孕む
法は国家に、貨幣は資本主義に、言語は市民社会に対応する/社交する人間たちのための市民主義
集団ヒステリーとしての国民投票/市民社会の理想が国家と資本主義を支える
岩井克人著作一覧/初出一覧
はじめに/ 金融とは何か
「派生物=貨幣」に支えられる「実体=経済」/『ファウスト』も労働価値観だった
錬金術こそ貨幣の謎を模倣した/労働価値説という虚構がなぜ生まれたか
都市と農村の二重構造が国民国家をつくった/資本主義が高度情報化もグローバル化も作り出した
賭け――差異性をめぐるもっとも退廃した形態/貨幣――いますぐ使わなくてもよいという自由
貨幣は投機の別名、資本主義の本質、すなわち自由/通貨危機の背後にあるもの
基軸通貨ドルも自己循環論法で成立している/王権利得(シニョレッジ)を持った国、アメリカ
世界中央銀行は可能か/基軸通貨の安定は労働者を移動させる
「言語・法・貨幣」が人間をつくった/資本主義と無限の観念
第2章 資本主義論
貨幣論から法人論へ/会社はモノであって同時にヒトである
モノでありヒトであることの謎/法人名目説と法人実在説の戦い
組織特殊的な人的資産――日本の伝統/デ・ファクト・スタンダード(事実上の標準)
『会社の二つの身体』/産業資本主義の時代
ポスト産業資本主義の時代/産業資本主義のイデオロギーとしての社会主義
マルクスをマルクスによって批判する/「近代世界システム論」批判
ドル中心主義とアメリカ中心主義は違う/労働価値説によって支配された二百年
第3章 法人論
始原としてのポストモダン/ケインズの美人投票論
デ・ファクト・スタンダードとしての美/奴隷になってはじめて主体になる
国家もまたヒトであると同時にモノである/国家的会社から会社的国家へ
社会的実在としての言語・法・貨幣/貨幣商品説と貨幣法制説の対立は諸学を貫く
言語・法・貨幣と宗教/法人は社会的承認を必要とする
資本主義社会は倫理性を絶対に必要とする/契約関係は信任関係から派生したと考える
ポストモダンに倫理は可能か/言語という外部
倫理の基軸としてのカントの定言命法/文学という最後の鍵
第4章 信任論
現実が理論を模倣する/会社という法人は二階建てになっている
会社の社会的責任とはどういうものか/貨幣論においても法人論においても私有財産制は大前提である
私有財産制とは何か/自己利益追求で成立しているシステムは必然的に倫理性を必要とする
信任関係の起源/信託関係では所有権が二重になる
財産をもってはいけない人に財産を寄進するにはどうするか/ヒトとモノ、否定と抑圧
自己循環論法――実体のないものが力をもつということ/フロイト、ラカン、ケインズ
モノへの欲望の否定としての貨幣が、欲望の対象になる/社会があるから人間があり、人間があるから社会があるという循環論
法人は社会的承認を必要とすることの意味/近代は、ヒトがモノでもあることを抑圧したことによって成立した
言語・法・貨幣は遺伝子ではない/自己循環という起源
第5章 市民社会論
貨幣論、法人論から、市民社会論へ/仮言命題は社会主義的で、定言命題は反社会主義的である
人間社会には、物理的な実体とは違う社会的な実体がある/存在の忘却と貨幣の忘却――ハイデガーとケインズ
形式的な論理(資本主義)に対する形式的な倫理(カント)/不完全性定理は真理の新たなあり方を示す
社会的な実体としての言語・法・貨幣は、進化する/カントの倫理がたんなる思想ではなく真理となった社会が市民社会である
「国家および資本主義を超える何か」としての市民社会/建設的な虚構が要請されつづける市民社会
第6章 人間論
社会的実体というものが存在する/規範意識は遺伝するが、私有財産制はじつは遺伝に反する
遺伝決定論優勢は動かない、しかし社会的実体は遺伝しない/言語・法・貨幣は、共同幻想ではなく社会的実体と見なしたほうがいい
死ぬことによって「法」と化したロミオとジュリエット/言語・法・貨幣を成立させるものとしての「書き言葉」
命名されたときに人はすでに法人になっている/最終的には、数学も文学に含まれ、経済学も文学に含まれる
欲望の他者性は、他者の欲望と決定的に違う/自己循環論法によって成立するものはつねにパニックの危機を孕む
法は国家に、貨幣は資本主義に、言語は市民社会に対応する/社交する人間たちのための市民主義
集団ヒステリーとしての国民投票/市民社会の理想が国家と資本主義を支える
岩井克人著作一覧/初出一覧