「シロとクロ」
いつの間にか施設に住み着いた二匹の犬。
学校にも一緒に行くさりたちの優しい仲間。
ところが大人たちにはそう見えなかったらしく──。
「かわいそバトル」
同級生の竹内君に唐突に可哀想がられるさり。
「施設に住んでいてかわいそうだね」。
わたしたち、可哀想なの──?
「警察へ行こう! 」
ある日道端でお金を拾ったさりたち。
「警察に届けよう! 」勇気を出してみんなで行った
はじめての警察でさりたちは──?
「優しい鎖」
一緒に施設にやってきた真鍋姉妹。
妹のみきちゃんはお姉ちゃんのゆりちゃんと
一時も離れることができない。
そんなある時ふたりの関係に変化が──。
「るるちゃん」
施設にはいつも嘘をつく子、るるちゃんがいた。
さりたちは何度も何度も騙される。
るるちゃんはどうしてそんな嘘をつくんだろう。
「花の髪飾り」
白浜先生のポケットには花の飾りのヘアピンが入っている。
それは特別な日のための先生の想いがこもったプレゼント。
「シスター」
さりたちのことは何でもお見通しのシスター。
きびしくて優しさにあふれたシスターの
子どもたちへの想いが垣間見えた瞬間──。
解説とコラム:長瀬正子(佛教大学社会福祉学部講師)
<帯より>
わたしがいただいたのは白黒の原稿です。
でも、すべてのページがフルカラーで目に飛び込んできます。
小さい『さり』の心の声や心臓の音、目に映るすべての景色が
『さり』ではないのに、まるで一緒に体験しているような気がする
読み終わって気がつくと、机がびしょびしょになるくらい泣いていました。
でもそれは悲しいとか可哀想とかじゃなく、
たぶん子どもだったことがある人なら誰でも持つ
色んな「名前のない気持ち」が、
丁寧に丁寧にリボンをかけてしまってあって
それを一つずつ取り出して眺めるような、
暖かく懐かしい気持ちがする宝石箱のようなお話だから
なのかも知れません。
(春名風花・はるかぜちゃん)